要旨15
人工芒硝重曹泉浴の降圧効果について
日温泉気候物理医学会雑誌 54:211-4, 1991
本態性高血圧10例が人工芒硝重曹泉 (Na2SO4・NaHCO3 ;バスクリン、ツムラ) 浴40ºCに10分間、坐位入浴した。携帯型血圧連続測定装置を装着し1日の血圧変動を記録した。また別の日に、入浴しない1日と真水入浴した1日の血圧変動も記録した。入浴前後で静脈血の酸素分圧と二酸化炭素分圧を測定した。
人工芒硝重曹泉浴では淡水浴よりも大きな降圧効果がみられた。心拍数は人工芒硝重曹泉浴で低下した。静脈血の酸素分圧(濃度)は人工芒硝重曹泉浴でも真水浴でも増大していた(静脈血の動脈血化現象)。
人工芒硝重曹泉浴には降圧効果があり、本態性高血圧の補助療法として有用であることが示唆された。
静脈血の動脈血化現象:
血液は 動脈→毛細血管→静脈 と流れます。
温熱により、前毛細管括約筋(下図)が弛緩して 動脈→静脈 の近道(バイパス、シャント)が開通します、そして毛細管を素通りした動脈血が直接静脈に注ぎます。
また、このバイパスから毛細血管に多数の小道が出ているので、(普段は閉鎖されていた)多数のルートから動脈血が毛細血管に注ぎ始めます。
その結果、末梢血管抵抗が減少し、心臓の血液を拍出する労力を軽減します、また静脈環流(末梢の静脈から心臓へ戻っていく血液の量)が増大して、肺血流や心拍出量が増加します、さらに末梢組織への酸素供給が増大することになります。
注意:この要旨は医学論文をあまり読んだことのない方のために、詳細を
かなり省略して内容をわかりやすくまとめたものです。正確な内容
を知りたい方は上記文献の原文をご一読下さるようお願いします。
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