泉質について
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道案内 温泉医学Home (表紙
     温泉医学index目次
    A 温泉研究 Balneology Research Page 1
      ① 温泉の科学   Page  2,  3,  4,  5,  6,  7,  8,  9,
      ② 温泉研究業績  Page 10, 11, 1213, 14, 15, 16, 17,
                                             18,
19, 20, 2122, 23, 24, 2526, 27
      ③ 温泉学会の案内   Page 28, 29, 30,
      ④ 温泉療法医     Page 31
      ⑤ 温泉医学アルバム Page 32
    B 温泉療法 Balneotherapy     Page 33
      ① 温泉療法の実際 Page 34
      ② 安全入浴法   Page 35
      ③ 泉質について  Page 36
      ④ 美人の湯    Page 37
      ⑤ 言い伝え    Page 38
      ⑥ よくある質問   Page 3940, 41, 42, 43, 4445, 46,
               47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55,
                56, 57, 58, 59, 60, 61, 6263, 64

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一般論として:

1、温泉に入浴した場合、物理作用(温熱、静水圧、浮力、粘性)については
  泉質の差はほとんどありません
2、化学作用千差万別です。特に皮膚への直接作用は多種多様です。
3、入浴以外の治療法(吸入、飲泉など)では泉質の差がでてきます。
4、温泉療法の効果がでるまで1月間以上かかります。2~3日では話になりません。

日本の温泉について:
温泉療法には「入浴」のほかに、吸入、通気、鼻浴、うがい、飲泉、噴射、蒸気浴、鉱泥、運動浴などの治療法がありますが、日本ではほとんどが「入浴」に限定されます。

生体の皮膚を貫通して体内に侵入できるような物質は極くわずかで、炭酸ガス硫化水素くらいです。したがって温泉成分(泉質)により「入浴」の治療効果に差がでてくるのは皮膚疾患くらいです。これ以外の場合は「入浴」による泉質の差はほとんどありません。
ちなみに炭酸ガス硫化水素血管拡張作用がありますので、高血圧心臓疾患には有用です。
日本には二千余の温泉があり、みんなひとつひとつ泉質は違います。つまり二千余の温泉に二千余の効能が存在します。泉質は多量に含まれているイオンや化合物で命名されますが、微量物質でも大きな医学的作用を持つこともあります。成分表に記されてない物質が実はその温泉を支えていたということもあります。

  このようにお断りした上で一般論として泉質と効能を羅列してみます

温泉法と泉質について:

温泉法により認められている成分は次の18種類です。
しかしこれら18成分を基準に分類しているのではなく、実際には濃度の高い元素によって分類されています。もちろんこの18種類を指定した医学的根拠は全く不明です。

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放射能は大量では大災害を引き起こしますが、微量では逆に適度な刺激となって生体の免疫力を高めたりして有益です(ホルメシス効果)。
酒も大量だと身を潰しますが、微量だと百薬の長となります、これもホルメシス効果ーーー、ウソだろうなーーー。

放射能泉の地域に永年住んでいる人の寿命が短いということはなく、白血球や染色体にも異常がないことが報告されています。むしろ癌の発
生率が少ないという報告もあります。安心してお出かけ下さい。

補足説明:昔ながらの呼び方では 
      重曹泉   NaHCO3
      明礬泉   AlK(SO4)2
      緑礬泉   FeSO4
      正苦味泉   MgSO4
       芒硝泉   Na2SO4

      石膏泉   CaSO4
が、それぞれ主成分と考えてください。
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 江戸時代の温泉番付 諸国温泉効能鑑        草津温泉 湯畑

      草津温泉 湯畑源泉の温泉分析所書
放射能泉
微量の放射能を含む温泉で、ラジウム泉ラドン泉トリウム泉などがあります。効能やメカニズムの検証は未知のままです。「放射能」ではあ りますが、極微量なので害はありません。いやむしろ、微量の放射能は生体の免疫機能を高め、ストレスを和らげるなどの効果が報告されて います。
   増富(山梨)、赤石(山梨)、赤石(山梨)、
   有馬(兵庫)、三朝(岡山)、養老(広島)
J 放射能泉
単純酸性泉
水素イオン1mg/kg以上含む温泉。一般に高温で、酸味があり、肌に刺激があります。
しばしば硫化水素、明礬、
緑礬などを含んでいて、それぞれ酸性硫化水素泉酸性明礬泉酸性緑礬泉と呼ばれています。
殺菌力があるため、効能は皮膚疾患や外傷など。
    岳の湯(福島)、蓼科(長野)
I 酸性泉
硫黄泉
  単純硫黄泉          単純硫黄泉
  単純硫黄泉(硫化水素型)  単純硫化水素泉
硫黄を1mg/kg以上含む温泉。硫化水素ガスによる卵が腐ったような臭いがします。
湧出直後は無色透明だが、空気に触れて酸化すると、白濁~黄色調になります。
苦味があり、肌荒れしやすい(湯まけ)。
強酸性なので殺菌効果があり、皮膚疾患や外傷が適応症。
薬用効果は高く、温泉通にはたまりません。古くから万病に効くといわれてきました。しかし火山の近くに多いため、火山ガスによる事故は
少なくはありません。
   名湯に入りたし、されど命は惜ししーーー。
硫黄泉はさらに、
  遊離炭酸や硫化水素を含まない単純硫黄泉
  炭酸ガス硫化水素を含む硫化水素泉とに分類されます。
単純硫黄泉          単純硫黄泉
   登別(北海道)、玉川(秋田)、繋(岩手)
   別所(長野)、戸倉上山田(長野)、
   日光湯元(栃木)、万座(群馬)、雲仙(長崎)
単純硫黄泉(硫化水素型)   単純硫化水素泉
   黒湯(秋田)、孫六(秋田)、大沢(岩手)
   岩泉(岩手)、野地(福島)、老神(群馬)、
   熊の湯(長野)、湯田中(長野)、霧島神宮(鹿児島)
H 硫黄泉
正確にいうと、明礬(ミョウバン)とは AlK(SO4)2・12H2O で、
正八面体
の結晶となります。
含明礬緑礬泉    AlFe(II)-SO4
明礬とは硫酸アルミニウム、緑礬とは硫酸鉄のこと。両方の成分を含むことが多く、いっしょにされることが多い。
あえて分類すればーーー、
  明礬泉:川湯(北海道)、八甲田(青森)、須川(岩手)
  緑礬泉:蒸ノ湯(秋田)、鷲鞍(福島)、草津(群馬)
G 含アルミニウム泉
鉄泉          Fe泉
10mg/kg以上含む温泉。湧出直後は無色透明だが、空気に触れて酸化すると、茶褐色~黄色に変わります。
    赤湯(福島)、天狗(長野)、有馬(兵庫)、鉄輪(大分)
F 含鉄泉
硫酸塩泉       SO4
 硫酸イオンを含む温泉。無色透明で、苦味があります。
日本に多い泉質で薬用効果も大きい
古より、「中風の湯」「脳卒中の湯」「傷の湯」と呼ばれていて、
温泉の横綱で、まさに「薬湯」といえます。
 陽イオンによりさらに分類されます。
  硫酸マグネシウムなら正苦味泉
  硫酸ナトリウムなら芒硝泉
  硫酸カルシウムなら石膏泉といいます。
  
硫酸なら緑礬泉といいます(鉄泉のほうに分類されます)。

正苦味泉:十勝岳(北海道)、オンネトー(北海道)、
     旭岳(北海道)、地獄谷(長野)
芒硝泉 :浅虫(青森)、川尻(岩手)、天童(山形)、
     赤倉(山形)、遠刈田(福島)、大森(福島)、
     須賀川(福島)、湯宿(群馬)、尖石(長野)
石膏泉 :白布(山形)、法師(群馬)、尻焼(群馬)
     四万(群馬)、猿ヶ京(群馬)、水上(群馬)、
     川原湯(群馬)、赤倉(新潟)、湯河原(神奈川)
緑礬泉 :恐山(青森)、微温湯(福島)、草津(群馬)
E 硫酸塩泉
食塩泉        Na-Cl泉
 食塩、つまりナトリウムイオンと塩素イオンを含む温泉。
無色透明ですが、塩辛い。肌にべとつくがよく温まりますので、
熱の湯」とよばれたいます。とくに皮膚疾患に効能があります。
     定山渓(北海道)、ニセコ(北海道)、旭(北海道)
    秋保(宮城)、四万(群馬)、熱海(静岡)
    稲取(静岡)、湯平(大分)
D 塩化物泉
  ただし、1日分が数十円程度の胃腸薬でも確実に胃炎胃潰瘍を治せます。
従って、「胃腸病に良い」とされるけれども、胃腸病の治療のためだけで
温泉地に来るほどの理由はありません。

重曹は次の反応で胃酸(HCl, pH 1.0)を中和します。
     NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O + CO2
つまり重曹制酸剤として働きます。
重曹泉(アルカリ泉)   NaHCO3 
炭酸水素イオン、ナトリウムイオンを含む温泉。
無色透明で肌がなめらかになります。
飲用で胃炎、胃潰瘍に効能あります。
     支笏湖(北海道)、川湯(和歌山)、龍神(和歌山)、
     人吉(熊本)
アルカリ土類金属
   化学周期表の2族元素 (Be, Mg, Ca, Sr, Ba, Ra) のうち
   周期表の下のほうに位置する CaSrBaRa を指す。
   アルカリ金属(1族元素;K, Na)とアルミニウム(3族元素;
   鉱物や土壌中に広く存在している)の中間的な性質を
   もっているので、「アルカリ・土類」と呼ばれています。
重炭酸土類泉    Ca(Mg)-HCO3
炭酸水素イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンを含む温泉。
無色透明で肌がスベスベします。
    赤倉(新潟)、鹿沢(群馬)、御宿(千葉)、島原(長崎)
C 炭酸水素塩泉
単純炭酸泉     単純CO2
二酸化炭素1g/kg以上含む温泉。無色透明で酸味があり、清涼感が
ある。気泡が肌について爽快感がある。古い火山には多いが、若い
火山の多い日本では少ない泉質です。
効能は炭酸ガスによる血管拡張作用で、高血圧、心疾患、
末梢循環不全など。
     肘折(山形)、湯村(兵庫)、長湯(大分)、辰頭(熊本)
B 二酸化炭素泉
単純温泉      単純温泉、アルカリ性単純泉
溶存成分が1g/kg以下の温泉。薄い薄い塩水と考えて良い。
単純温泉のなかで、pHが8.5以上をアルカリ性単純泉という。
効能は温熱一般の作用(疼痛、末梢循環)の他に塩による化学作用
(皮膚疾患、外傷)があります。
   単純温泉
    阿寒湖(北海道)、層雲峡(北海道)、作並(宮城)、
    宝川(群馬)、鹿教湯(長野)、強羅(神奈川)、
    箱根湯本(神奈川)、伊東(静岡)、下呂(岐阜)
    
  アルカリ性単純泉
    湯瀬(秋田)、飯坂(福島)、越後湯沢(新潟)、
    鬼怒川(栃木)、老神(群馬)、谷川(群馬)、
    石和(山梨)、伊東(静岡)
泉質には掲示用泉質名旧泉質名新泉質名の3種類があります。

A 単純温泉
貧血に効くとされてますがお勧めはしません。こんな微量で治るわけがない
 一般に鉄欠乏性貧血の治療には鉄剤を毎日100-200mg服用します。温泉水(10 mg/L 程度)で鉄欠乏性貧血を治す気なら、毎日10-20リット ル飲まねばならない計算になります。もちろん鉄欠乏性貧血以外の貧血には全く効きません。(かつて某所の鉄泉を鉄欠乏性貧血の人達に試してみましたが、全く無効でした。)

  成人の鉄欠乏性貧血は、癌などの悪性疾患が原因のこともありますので、温泉なんかでのんびりする前に、内科か外科 をまず受診してください(とても重要です)。