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2.効果は?


            草津温泉 西の河原
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2)温泉の効果にはどんなのがありますか?

温泉の医学作用には
   1) 物理作用  
   2) 化学作用  
   3) 生物作用(総合的生体調整作用)  
があります。
物理作用はさらに 
   a) 温 熱  
   b) 水 圧  
   c) 浮 力  
   d) 粘 性  
に分類されます。

1. 温 熱
 温熱には血管拡張代謝亢進筋緊張低下疼痛軽減鎮静作用などがあり、高血圧心不全肺気腫末梢神経炎神経痛関節リウマチ骨関節痛筋肉痛などに効きます。これは真水の家庭風呂と同じです。しかし温泉には保温効果があります。温泉に溶けているイオンや化合物が皮膚表面を被覆して体温が放散しないようにしています。このため家庭の風呂より温泉はより多くの物理作用を発揮しています。

2. 化学作用
 日本に二千余もある温泉のひとつひとつが異なった成分を持ってます。温泉ごとに「化学的に」違った効能が存在し、同じものは存在しません。特に温泉の化学成分が直接に作用する皮膚は温泉から多くの恩恵を受けています。古くから美人の湯と言われてきた温泉には漂白作用があり、皮膚を白くなめらかにすべすべにします。これも代表的な化学作用のひとつです。

 日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東方遠征の帰りに草津に立ち寄って傷を治したと伝えられていますが、草津の湯の成分には殺菌作用肉芽形成作用があり創傷治癒を早めます。
 ちなみに日本武尊が妻を慕って峠で「わが妻よ」とつぶやいたことから、草津一帯を吾妻郡(あがつまぐん)と呼ぶようになったそうです。妻を恋い慕ったことから嬬恋村(つまごいむら)という地名もできました(真偽のほどは - - - )。

温泉の劣化現象・老化現象
 温泉は地上に湧出した瞬間が、イオン、活性酸素、電子、などの活性化物質を豊富に含み効能が極めて高いといえます。しかし地上に出てから酸素と接触し酸化していくと、これらの効能が薄れていきます。これを温泉の劣化現象温泉の老化現象と言います。無色透明の温泉が白く濁ってきたりします。濁り湯と言われ、多くの人から好まれていますが、実は酸化して一部の効能が弱くなっているのです。白濁している主な化合物は、CaSO4, CaCO3 です。イオン Ca2+, SO42-, CO32- には豊富な効能がありますが、化合物となった CaSO4, CaCO3 の効能はかなり減弱しています。

3. 総合的生体調整作用
 物理作用は家庭風呂でもある程度の効果があります。化学作用も多くの入浴剤が開発されてきて、温泉を代用できる可能性も考えられます。しかしこの総合的生体調整作用は温泉地でないと存在しません。これはストレスや過労などで自律神経や内分泌機能などの日内リズムが乱れていたのが、温泉地で温泉浴していると元のリズムに戻ってくるという漠然とした曖昧な作用を総称します。リラックスとか、気分転換とかいうほうが解りやすいでしょうか。これは化学製品では代用不可能な温泉地特有の効能です。温泉成分の少ない単純泉でも総合的生体調整作用は十分あります。従って単純泉も立派な温泉効果を持つといえます。

 最近の研究では、運動、情動、ストレス、温熱、物理刺激、化学刺激などが視床下部・脳下垂体・副腎を介して生体を調節していることが判明しました(視床下部・脳下垂体・副腎軸、HPA axis)。これら軽度の刺激を反復すると、乱れた生体のリズムが少しずつ正常化してきます。かつて転地療養と漠然と言われていたことが科学的に解明されました。化学的刺激にはマイナスイオン森林浴などがあります。

森林浴
 温泉浴ではありませんが、森林のなかで清浄な空気にひたり心身の健康をはかることで、気候性地形療法と位置づけられています。樹木から放散される生薬成分として、テルペン系炭化水素(精油に含まれるC10H16の構造をもつ化合物の総称で、樟脳、メントールなどがあります)やフィトンチッド(樹木が傷ついたときに発散する殺菌力をもつ揮発性物質、Phyton = 植物、cide = 殺す)が鼻粘膜から嗅神経を介して視床下部を刺激して、脳下垂体、副腎皮質へと信号が伝わり、生体を調整していきます。

 なお古くから日本人は、赤飯に南天を添えたり、おにぎりを笹の葉で包んだり、鮨にシソを添えたりしてきました。また桜餅笹団子も葉で包まれています。これらはフィトンチッドという天然の殺菌・防腐作用を利用しています。日本の先人たちの優秀さに感嘆します。
        
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  温泉医学index目次
   A 温泉研究 Balneology Research Page 1
     ① 温泉の科学     Page  2,  3,  4,  5,  6,  7,  8,  9,
     ② 温泉研究業績    Page 10, 11, 1213, 14, 15, 16, 17, 18,
                       19, 20, 2122, 23, 24, 2526, 27
     ③ 温泉学会の案内  Page 28, 29, 30,
     ④ 温泉療法医     Page 31
     ⑤ 温泉医学アルバム Page 32
   B 温泉療法 Balneotherapy     Page 33
     ① 温泉療法の実際  Page 34
     ② 安全入浴法     Page 35
     ③ 泉質について    Page 36
     ④ 美人の湯       Page 37
     ⑤ 言い伝え        Page 38
     ⑥ よくある質問     Page 39, 40, 41, 42, 43, 4445, 46, 47, 48,
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